ラブという薬
わたしのサンクチュアリ金高堂をいつものようにぶらついていたら、平積みされていたこの本の表紙が何気なく目についた。(じき聖地は7月にopenするすぐ側の図書館にも移ることだろう。カフェと図書が併設されるだなんて、天国は死なずともこの世にあった)
精神科の先生が携わるものとしては、この本のもつイメージはあまりにもポップで可愛い。
精神科の先生とお話する、という言葉の響きに、ぎくりとする。
どんなに重い話が綴られているんだろうと身構えてページをめくるけど、めくるたびに、自分のそんな概念が覆されてゆく。
もっと生活に身近に、ラフにカウンセリングというものと考えてもいいんだよと2人は会話を通して語りかけてくれる。
人は生活のなかで、自分勝手に思考の糸を絡ませ、窮屈に解けなくしてしまう。
二度と戻すことはできないと思い込んでるその糸は、ちゃんと解いてゆくことができる。
会話をすることによって。
「曖昧さや不安定さに向き合う仕事を愛す」。
星野概念先生のそのモットーが、いまはもっともこころに響く言葉なのだ。
この本の何に惹かれるのかって、先生たちの語り口がきっと文系だから。
大多数の政治や社会を救おうとする言葉よりも、そこからこぼれ落ちる少数の人たちへ向けられた言葉の方がいい。
それが文学の力。
学校の教室で、落ち着きがないこどもに与えられる病名がある、けれどそれも、もし江戸の時代であれば、ちょっと変わり者の天才だと言われる人間であったことも、現代では学校という制度があるからそんな病名を付けられてしまう、けれど、だからといって学校制度をやめろというわけにもいかない、そんな時代だからこそ、いま必要なもの。
そういえば日常的にわたしたちは生活のうちにプロのお仕事にたくさん助けられてる、お腹がすいたときに行く外食のお店さんも、髪型だってプロにすべて丸投げ、お化粧だって大丸にいるプロのお姉さんにご指南いただいてる、じぶんのものでも美容のことはすべて人任せ。
じぶんのことなのになぜか何にもできないじぶんのこころのことだって、楽になる仕方をプロに教わるほうがいいのかもしれないと自然に思えるようになった。じぶんの身体のことなのにどうにもできないから治療をしにいく整体みたいに。
この本に惹かれる理由その2。
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